2019.5.10公開
離婚をして未成年の子どもを引き取って育てている場合,相手方(元夫)に養育費を請求できます。
しかし,請求しても支払ってもらえない場合は,養育費に関して裁判所に対して調停を申し立て,合意できなければ審判によって,裁判所に養育費の金額を定めてもらうことができます。
ただ,審判によって養育費の金額が明確になっていても,相手方が任意に支払わない場合もあります。
このような場合は,強制執行という手続きをとり,相手方の給与や銀行口座を差し押さえるなどして,養育費を回収することが可能です。
しかし,相手方の勤務先が分からない場合は給与を差し押さえることはできません。また,銀行の口座を差し押さえる場合には,銀行の支店まで特定する必要がありました。そのため,実際には養育費を回収することは簡単ではなく,社会的にも問題になっていました。
そこで,民事執行法を改正する動きとなり,現在,改正案が提出されたところです。
これによれば,財産開示手続という制度を利用した場合に,裁判所を通じて,給与支払者の情報を把握している市町村や年金事務所に対して,給与支払者の情報を提供するよう求めることができます。その結果,相手方の勤務先が分かれば,強制執行により給与を差し押さえることができます。
また,同様に,裁判所を通じて,銀行の本店に対してどの支店に口座を有しているか,情報を提供するよう求めることができます。これにより,支店に関する情報までは把握していなかったとしても,口座を特定することが可能になります。
現在,改正案は国会で審議中ですが,民事執行法が改正されれば,今よりは養育費の回収が容易になると思われます。
養育費に関して支払の合意をしていたにもかかわらず,支払がされないなど,養育費の問題にお悩みの場合には,当事務所にご相談ください。
執筆者:山下江法律事務所 弁護士 柴橋 修