2018.3.9公開
当事務所では,多くの離婚相談が寄せられておりますが,離婚は,離婚ができるかどうか(離婚原因),お子さんに関すること,財産分与,慰謝料など問題が多岐に渡ります。今回のコラムでは,相談時によくある質問を複数取り上げ,簡潔に解説していきます。
Q1 何年ぐらい別居したら離婚できるのでしょうか?
A1 離婚協議や離婚調停で話し合いをしても相手方が応じてくれず離婚できない場合,離婚訴訟を提起して,裁判所に離婚原因があることを認めてもらう必要があります。「離婚原因」があるかどうかは,通常,婚姻関係が破綻しているかどうかという基準で判断し,別居期間はその判断の一要素です。
別居期間が長期に及べば婚姻関係が破綻していると判断してもらいやすくなりますが,別居期間が何年に及べば離婚できるというものではありません。
Q2 親権を取りたいのですが,男性だと不利なのでしょうか?
A2 親権者としての適格性は「子の福祉」に適うかどうかという観点で判断し,その判断基準として,①継続性の原則,②乳幼児における母性優先の原則,③子の意思,④養育環境の比較,⑤きょうだい不分離など複数の基準があると言われています。
②は,乳幼児については母親の監護を優先するという原則です。現在でもこの原則を重視した裁判例が見られ,その意味では男性側は不利と言わざるを得ません。しかしながら,近年では,「母性的な関わりを持つ対象となった養育者」との関係性を重視すべきとの指摘もなされています。
Q3 養育費はいくらぐらいが妥当なのでしょうか?
A3 養育費については,「養育費・婚姻費用算定表」というものが公表されており,これを参考にします。
算定表は,権利者(請求する側)と義務者(支払う側)の収入を当てはめて使用します。通常生じるであろうと考えられる諸事情を加味したうえで金額が算定されており,しかも,2万円の幅を持たせているので,この幅の中で具体的な事情を考慮して,当事者の意見を調整することになります。
Q4 離婚の慰謝料はいくらぐらいなのでしょうか?
A4 離婚の慰謝料には,①離婚慰謝料(離婚することに対する慰謝料)と②離婚原因慰謝料(離婚原因となった有責行為に対する慰謝料)とがあるとされていますが,どちらにしても,離婚原因が相手方になければなりません。性格の不一致で離婚するような場合は,慰謝料は認められません。
裁判所は,①有責性,②婚姻期間,③相手方の資力を判断要素として,慰謝料額を算定していると言われています。一般的には100万円から300万円が多いと言えます。
離婚に関しては,上記以外にも様々な問題が含まれます。お悩みのことがあれば,当事務所へご相談ください。
執筆者:山下江法律事務所 弁護士 山口 卓