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即時取得制度

山下江法律事務所

目次

即時取得制度

 今回は、動産売買に関する事例についてご紹介します。

 Aさんは、友人のBさんから、Bさんの持っていた腕時計を1万円で買いました。ところが、実はその腕時計はBさんのものではなく、BさんはCさんからの預かりものを勝手に売ってしまったのでした。

 もちろんAさんはそのような事情を知らないでBさんから買ったのですが、Cさんから「私のものだから返せ。」と請求された場合、Aさんは腕時計を返さなければならないのでしょうか。

 Bさんは腕時計の所有者ではなく、腕時計を売る権限もないのですから、Aさんは腕時計の所有権を取得できず、Cさんに返さなければならないのが原則です。しかし、その原則を貫くと腕時計をBさんのものだと信じ、代金まで支払ったAさんに酷なように思えます。

 そこで民法は『即時取得』という制度を用意し、一定の場合に保護を図っています。すなわち、『取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。』としています(民法第192条)。そして、その要件のうち、「平穏」「公然」及び「善意」については法律上推定されており(民法第186条1項)、また判例上、「無過失」についても立証責任を負わない、とされています。

 Aさんは、売買(=取引行為)によってBさんから腕時計を譲り受け、Bさんが所有者でないことを知らなかった(=善意)のですから即時取得が成立し、腕時計の所有権を取得すると考えられます。したがって、Cさんに腕時計を返す必要はないことになります。

 ただし、その動産が盗まれたり紛失したものであった場合、持ち主に一定の範囲で取り戻す権利を与えないと、被害者や遺失者に酷な結果となります。

 そこで、民法第193条は、『…占有物が盗品又は遺失物であるときは…盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。』としています。

 今回のケースでは、腕時計は預けていたものですので、この規定は適用されませんが、仮にAさんに売った腕時計が、BさんがCさんから盗んだものであった場合、Cさんは盗まれてから二年以内であればAさんから腕時計を返してもらえることになります。

 この規定にはさらに例外があり、『…競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。』(民法第194条)とされています。

 Aさんが時計店で1万円の腕時計を買った場合であれば、たとえそれが盗品だったとしても、Cさんから1万円を払ってもらわない限り、返還しなくてよいということになります。

 上記のような物の売買のケースに限らず、身近な人との間であっても思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。そのような場合には当事務所までご相談ください。

稲垣洋之

広島本部/弁護士

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