2015.12.25公開
平成27年12月16日、女性の再婚禁止期間を6か月と定めた民法733条1項の規定のうち、100日を超える部分は違憲であるとの最高裁判決が出されました。
そもそも、このような規定がなぜ存在したかというと、再婚禁止期間を定めることにより、父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐという目的がありました。そして、父性の推定については、民法772条に、「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消もしくは取消の日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定される」と定められておりました。これらの規定により、離婚後すぐ再婚を行った場合には、前の夫及び新しい夫の両方の子どもと推定がされてしまう期間が生じてしまうため、再婚禁止期間を設けることにより、父子関係の二重の推定を未然に防止しようという意図があったのです。
ところが、離婚後300日以内と再婚後200日以後という期間が重なるのは、離婚後100日以内に再婚をした場合に限られます。そのため、単にこの推定期間の重複を避けるためという趣旨からすれば、離婚後100日を経過すればこの推定が重複する期間を避けることができますので、6か月以上という再婚禁止期間は必要以上の制約を行った規定ではないかという議論が生じていたのです。これには、DNA鑑定により比較的容易に父子関係の確認ができるようになってきたこと、再婚についての制約をなるべく少なくする要請、諸外国の類似規定の改正等時代背景も影響を与えています。
この最高裁判決により、離婚後100日を超える再婚禁止期間は無効と判断されたため、法務省は全国の自治体に対し、離婚後100日を経過した婚姻届の提出を受理するよう通知しました。今後正式に民法も改正され、再婚禁止期間は6か月から100日に変更されることになるでしょう。
このように、婚姻や離婚と親子関係には深いつながりがあります。
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